そう言ったところで、簿記の知識を持っていない人はさほど危機感を感じないかもしれません。
だって、簿記を持っていないからと言って就職できないなんて事はありませんし、簿記の知識を持たずに働いている人なんて数え切れないほど居ますしね。
ただ、私が本当に言いたいのは、「簿記の知識がないと就活が不利になりますよ」という事ではなく、「簿記を知らずに就職するとどうなるか想像できますか?」という事です。
残念ながら日本では、義務教育課程で簿記やお金の教育を受ける機会が少なく、簿記を学びの対象と思っていない方が多いです。
それが、もしかしたら、簿記なんて学ぶ必要のないものと認識する人が多い原因かもしれません。
もし、この文章を読んで下さっている方が同じように思っているのだとしたら…
はっきりと言いましょう。その認識は完全に間違っています。
簿記は、「社会人の常識」です。
簿記は非常に優れた学問です。
上場しているような大企業をはじめとして、中小企業や個人事業主も、簿記の仕組みを用いて日々の取引を記録します。
そして、国や都道府県や市町村といった行政も簿記を使っています。
さらに、日本だけでなく、世界中の行政・会社・個人事業主がみんな簿記を使っています。
つまり、 簿記は、世界中のあらゆる規模の事業体が採用している記帳の仕組み、ビジネスの共通言語なのです。
これは何も簿記の汎用性が素晴らしいと言いたいのではありません。
会社員になると、働く会社は必ず簿記を採用しています。
自営業をするのなら、複式簿記による記帳を基に確定申告をしなくてはいけません。
つまり、重要なのは、社会人になると簿記とは切っても切れない関係を結ぶ事になるという事です。
もしも、この認識を持っていないのなら、或いはこの事実の重要性を理解していないのなら、それは非常に危険です。
これは当然の話ですが、すべての企業や個人事業主は、利益を出すために日々活動しています。
会社員も個人事業主も、利益を出さなくてはいずれみんなが路頭に迷う事になります。
そして、その利益は簿記の仕組みにより計算されます。
仕組みを簡単に説明すると、「収益」という稼ぎに対して「費用」という投資がいくらかかったのかを、簿記の基準に基づいて計算します。
だから、 企業の経営者や個人事業主は、みんな費用を抑えようとしますし、費用に対していかに効率よく収益を上げられるかという事を、簿記の知識を前提として常に考えているのです。
そこで、あなたがもし簿記の知識を持っていないのなら、以下のような弊害があります。
- 損益計算の仕組みが分からない
- 正しいコスト感覚を持っていない
- 見積り感覚がなく損な買い物をしてしまう
- 新規の企画を行う際にまともな事業計画書を作れない
- 取引先の財務上の信用度を分析できない
- 相手の状況に応じた提案ができない
- 経済ニュースに対する理解が浅い
- 会計用語を理解できない(粗利益と経常利益の区別さえできない)
要は、簿記の知識がある人(経営者や取引先等)との共通認識が持てないという事です。
あなたが経営者の立場なら、そんな人材を欲しいと思いますか?
あなたがサラリーマンとして働いたとして、きちんと会社に貢献できると思いますか?
あなたが人に指示を出す立場になった時、会社にとって正しい指示を出せると思いますか?
いや、むしろ、簿記の知識を持たない人が出世して部下に指示を出すことは、会社にとって健全な事だと思いますか?
簿記は、いずれ必要になる知識です。
もしかしたら、もう必要になっているかもしれません。
なるべく早く、学習する事をお勧め致します。