103万円の壁や130万円の壁という言葉は、主婦の方なら一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
改めて整理すると、夫の扶養に入っている主婦がパートをした場合、年収103万円までなら所得税がかかりませんし、夫の所得控除(扶養控除)も最大の金額となります。
これが、俗に言う103万円の壁です。
そして、夫が会社員や公務員等である主婦がパートをした場合、年収130万円までなら社会保険の加入対象外となり、健康保険料や国民年金保険料を払う必要もありません。
これが、130万円の壁です。
夫が会社員や公務員である主婦は、103万円の壁を超えても130万円の壁を超えなければ所得税がかかっても有利であるケースが殆どです。一方、中途半端に130万円の壁を超えてしまうと、年間十数万円の手取り減となりますから、103万円の壁よりも130万円の壁の方を強く意識するべきです。
以上の事は、2016年9月までの話です。
実は、2016年10月から、新たに「106万円の壁」を意識しなくてはいけない人が増えます。
現在配偶者の扶養に入っているパートタイマーは、一定要件を満たした場合、年収106万円を超えると社会保険の加入対象となります。
例えば、年収120万円のパートタイマーが、106万円の壁を超えて約16万円の社会保険料を納める事となった場合、大雑把な計算で手取りは104万円となり、短期的な視点ではわざわざ多く働く意味が無くなります。
つまり、130万円の壁を意識して働いている人は、「年収を106万円未満に抑える等して社会保険に加入しない」もしくは「今までと同じあるいはそれ以上に働いて社会保険に加入する」という二択を迫られる事になります。
もっとも、短期的には130万円未満で働く旨みは無くなりますが、厚生年金に加入する事になりますので、年金の額が増えます。平均寿命(女性の場合約87歳)まで生きると、支払った保険料より沢山のお金がもらえます(損益分岐点は80歳前後)ので、長期的には社会保険に加入すると得になる可能性が高いと言えることも考慮に入れなくてはいけません。
最後に、106万円の壁を意識しなくてはいけない人について説明しておきます。
2016年10月から始まるこの制度では、
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.賃金が月額8.8万円(年収106万円)以上であること
3.勤務期間が1年以上見込まれること
4.学生を適用除外とすること
5.規模501人以上の企業を強制適用対象とすること
という5つの要件を全て満たす人が対象となります。
つまり、当面は大企業で働くパートタイマーの人だけが意識すべき壁と言えます。
但し、適用対象は徐々に拡大する予定ですから、現時点で対象とならない人も準備が必要です。